No! 三密プロジェクト

2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでは、感染拡大を防ぐために「三密」といわれる状況を避ける必要がありました。このプロジェクトでは、繁華街や商業施設の混雑情報を、デジタル技術を用いて収集・発信し、さらにオープンデータと組み合わせた「混雑予報」を行うことで、コロナ禍でも市民が安心して生活できる社会への貢献を目指しました。

プロジェクトの歩み

コロナ禍の歌舞伎町の混雑予報の放映の様子 データ放送での配信の様子
コロナ禍の歌舞伎町の混雑予報のテレビ放送(左)とデータ放送での配信の様子(右)

混雑予報の仕組み

Bluetooth Low Energyアドバタイズを用いた繁華街の混雑推定

本プロジェクトでは、東京都内の繁華街にBluetooth Low Energy のアドバタイズ信号を観測するスマートフォンアプリを配置し、繁華街の混雑状況をリアルタイムに推計する技術を、INIAD(東洋大学情報連携学部)YRPユビキタス・ネットワーキング研究所が中心となり、開発しました。特に、コロナ禍では、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が使われていましたが、このアプリは個人情報と紐づかないIDをもつアドバタイズ信号を常に発信していました。本プロジェクトでは、この信号を用いて混雑状況をモニタリングする技術を開発しました。(COCOAの運営終了後は、その他の信号を併用する方式に移行しました。)

また、過去の混雑の推定値と、カレンダー、天候、コロナの行動制限などのオープンデータと組み合わせた予測モデルを開発し、天気予報と連動した混雑予報も運用しました。

赤羽の混雑予報 銀座の混雑予報の放映の様子 観測端末
繁華街の混雑予報のWebサイトでの表示(左)とテレビ放送の様子(中)、BLEアドバタイズ観測端末(右)

POSのビッグデータを活用した商業施設の混雑推定

本プロジェクトでは、会員企業から提供された、都内のスーパーマーケット等のPOSの利用履歴のビッグデータをもとに、東京23区の商業施設の1時間毎の混雑度を推計しました。また、過去の推計値と、カレンダー、天候、イベント、コロナの行動制限などのオープンデータと組み合わせた予測モデルを開発し、天気予報と連動した混雑予報も開発しました。

港区の商業施設の混雑予報 墨田区の商業施設の混雑予報の放映の様子
商業施設の混雑予報のWebサイトでの表示(左)とテレビ放送の様子(右)

おわりに

2023年5月より新型コロナウイルス感染症も感染症法上の5類に移行し、混雑回避をめぐる社会的な状況も変化しました。No! 三密プロジェクトは、その社会的役割を終えたものとし、混雑情報の発信を終了いたします。今後、本プロジェクトで得られた知見、開発した技術を、公共性の高い施設や交通機関の混雑状況のモニタリング等に展開していく所存です。

本プロジェクトご支援・ご協力をいただいた多くの皆様に御礼を申し上げます。